2015.04.21
ニュース
会社法改正⑦ 内部統制システム(グループ内部統制の法律化,監査役を支える体制等の充実化)
今回の会社法改正で,株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備の規定が,施行規則から会社法に格上げされました。
近時,持株会社形態が普及するなど株式会社及びその子会社から成る企業集団(グループ企業)による経営が進展していることから,親会社にとっては,その子会社の経営の効率性及び適法性が重要なものとなっています。
そこで,法務省令ではなく法律である会社法において規定することによって,その重要性を示すことになりました。これにより,親会社の取締役がその善管注意義務の一環として,子会社の業務を監督する義務を一定程度負っているとの考えが強くなると思われます。
また,法務省令において,監査役等による監査を支える体制の整備に関する規定が充実化・具体化されました。例えば,上述したグループ内部統制の充実化の一環として,子会社の取締役等から親会社の監査役に対して報告が求められています。
これらの内部統制に関する改正(348条3項4号,362条4項6号,416条1項1号ホ)について,改正法では経過措置が設けられていません。そのため,内部統制システムの整備に関する決定が義務付けられている大会社及び指名委員会等設置会社の取締役(会)は,改正法の施行日(平成27年5月1日)以後は株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして,法務省令で定める体制の整備について決定しなければなりません。